今回は、Voigtlander NOKTON 50mm F1 Aspherical RF を愛機 EOS R5 に装着し、本州最北端の大間漁港を訪れました。
時は年末。マグロの水揚げで有名なこの港は、立っているのもやっとの強風が吹き荒れ、視界の先には寒く静かな海が広がっていました。 当初の目的だったマグロの姿こそ拝めませんでしたが、張り詰めた空気のなか、ふと目に留まったのは出船を待つ漁船の集魚灯でした。
厳しい冬の光を跳ね返すガラスの質感。強風に煽られながら、このレンズ越しに「ガラスという被写体」と対峙した記録です。開放1.0、JPEG撮って出しの世界で、その場の空気ごと切り取りました。
漁船を彩る集魚灯の佇まい(モノクロ)
港に停泊する漁船。その甲板で存在感を放つ集魚灯を、まずはモノクロームで捉えました。 開放1.0で描くことで、船体の重厚な質感と、等間隔に並ぶガラスの球体が作り出すリズムがより鮮明になります。冬の港の静寂を象徴するような、凛とした空気感を封じ込めました。


硝子が捉える冬の色(カラー)
続いて、同じ集魚灯に近接してカラーで切り取りました。 最短撮影距離ではありませんが、一歩踏み込むことで、開放1.0のボケが周囲を優しく溶かし、主役であるガラスの質感を浮かび上がらせます。モノクロでは見えなかった、塗装の微妙な色褪せや、冬の柔らかな光がガラス内部で屈折する繊細なニュアンスが、このレンズならではの豊かな色彩で描かれています。


開放1.0が描く硝子の深淵(モノクロ)
再びモノクロに戻り、さらに集魚灯そのものの描写を突き詰めました。 余計な情報を削ぎ落としたモノクロの世界では、開放1.0が生み出す圧倒的なボケの美しさがより一層際立ちます。鋭いピント面が捉えたガラスの硬質な輝きが、背景の深い闇の中に溶けていく様は、まさにこのレンズでしか描けない芸術的な領域です。


撮影機材・撮影設定
- レンズ:Voigtlander NOKTON 50mm F1 Aspherical RFマウント(開放f1.0撮影)
- ボディ:CANON EOS R5(JPEG撮って出し)
- 測光:評価測光
- ホワイトバランス:オート
- ピクチャースタイル:モノクロ/ニュートラル
まとめ
強風吹き荒れる大間の港で、目に留まった集魚灯を。 開放1.0に固定し、カラーとモノクロでその表情を追いかけました。 それは、まさにレンズ対ガラスの攻防ともいえる時間でした。
このレンズが描き出す繊細な解像度は、決して硬すぎず、かといって柔らかすぎもしない、ちょうどいい塩梅で目の前の質感を定着させてくれます。
あの日、あの時、あの場所でしか出会えなかった光景。 レンズを通して捉えたガラスという被写体は、単なる道具の記録を超えて、大間の冬を物語る大切な一片となりました。
撮影地情報
製品紹介(コシナ公式動画)
今回使用したレンズの技術的な背景や、メーカーによる詳細な解説をご覧いただけます。 描写の特性をより深く知りたい方は、こちらの公式動画も併せて参考にしてください。