今回は、Voigtlander NOKTON 50mm f1 Aspherical RF を愛機 EOS R5 に装着し、横浜・新山下の「木のみなと」を訪れました。ここは多くの船が停泊しており、昔からお気に入りの景色のひとつです。
日中の強い光が降り注ぐ中、今回はあえてNDフィルターを使わずに f2.8 まで絞り込む選択をしました。開放 f1.0 を常用すべきこのレンズにおいて、あえて絞ることでフリンジを抑え、被写界深度を広げた際にどのような描写を見せるのか。その実用的な一面を確かめるべく歩きました。
それでは、新山下で撮影したスナップの作例を紹介します。
停泊船と周辺減光のバランス
まずは港に佇む停泊船を捉えました。 開放 f1.0 で見られたフリンジはなくなり、非常に素朴で実直な描写です。周辺減光については、開放では落ち込みすぎだと感じる方にとっては、この f2.8 付近の減衰具合がちょうど良いと感じられるはずです。

サイドからの日差しが描く椅子
サイドからの日差しが、椅子の造形や質感を強調してくれます。 f2.8 まで絞ることで被写界深度が深まり、椅子の細部まで捉えやすくなっています。ピント面そのものの描写性能については開放時と大きく変わらない、このレンズらしい落ち着きを感じます。

サビの質感(古びたベル)
サビの質感をより克明に写し出すため、金属のディテールに迫りました。 最短撮影距離0.45m付近で古びたベルを撮影。ピントを合わせたサビの描写は鋭く、剥がれかけた塗装や金属の腐食具合が心地よい対比を見せています。

南京錠のボケと空間描写
続いて、最短撮影距離で南京錠を撮影しました。 鍵を中央に配置することで、f2.8における前後左右のボケの広がりを確認できます。中心の鋭い描写から、周辺に向かってどのようにボケが連なっていくか、その空間の奥行きを感じさせる一枚になりました。

背景描写とボケのコントロール
続いて、熊手にピントを合わせて背景のボケ方を見ていきます。 被写体から遠い位置に背景があるこのカットでは、背景に写るもののディテールがわずかに形を留めて認識されます。とろけるような開放時のボケとは異なり、背景の要素が主張し始めるため、煩雑な印象にならないよう背景の選び方に工夫が必要だと感じました。

角を帯びる玉ボケ
f2.8 で撮影したこのカットでは、玉ボケの形状がはっきりと 12 枚の絞り羽根の影響を受けています。円形ではなく角の立った多角形として描写されており、この絞り値におけるレンズの特性が如実に現れました。

凪いだ水面と船の描写
海と停泊船を捉えた一枚です。 f2.8 での描写は申し分ない性能を発揮しており、船体の細部までしっかりと描き出しています。特に波のない穏やかな水面の描写は美しく、安定感のある描写が港の静寂を見事に写し出しました。

撮影機材・撮影設定
- レンズ:Voigtlander NOKTON 50mm F1 Aspherical RFマウント(f2.8撮影)
- ボディ:CANON EOS R5(JPEG撮って出し)
- 測光:評価測光
- ホワイトバランス:オート
- ピクチャースタイル:ニュートラル
まとめ
f2.8 まで絞ることで解像感が増したように見えますが、それはフリンジが消失した影響と、絞り込んだ分だけピントの合う領域が広くなったことで、結果として写りが良く見えているという側面が大きいと感じました。
本来、このレンズを手に取る意味を考えれば、開放 f1.0 こそを常用として使いこなすべきです。日中の明るい状況でやむを得ず絞ることはあっても、やはりNDフィルターを用いてでも開放の世界に留まるのが、このレンズに対する正しい向き合い方なのだと再認識しました。
実直な描写を見せる f2.8 ですが、NOKTON 50mm f1 を手にする者にとっては、この絞り値を選ぶべき撮影シーンを改めて考えさせてくれる、興味深い選択肢になりそうです。
撮影地情報
製品紹介(コシナ公式動画)
今回使用したレンズの技術的な背景や、メーカーによる詳細な解説をご覧いただけます。 描写の特性をより深く知りたい方は、こちらの公式動画も併せて参考にしてください。