1月2日。世間はまだ正月ムードだが、胃袋は「日常」を求めていた。 おせちのような予定調和はいらない。今、求めているのは、もっとこう、生存本能を揺さぶるような熱量だ。
川崎駅に降り立つ。目指すは、最近勢力を拡大する「ちゃん系」の注目株、ニューともちん。
立ち食い:戦場という名の給油所
店前には長蛇の列。皆、正月から並んでまで脂を摂取しようというのか。日本人の麺に対する執着心には恐れ入る。だが、その熱気こそが望むところだ。
まずは食券購入。これが対戦の合図となる。 券売機と対峙し、迷わずボタンを押す。「チャーシュー麺」、990円。 大盛り設定なし。逃げ場なしの一本勝負ということか。その潔さ、嫌いじゃない。
再び寒空の下、30分ほど待つ。開け放たれた扉から、熱気が漏れ出てくるのが見えた。 ……椅子がない。完全なる立ち食いスタイルだ。 腰を据えることすら許されない。丼と向き合い、食らい、即座に去る。ここは食事処というより、給油所に近いのかもしれない。
チャーシュー麺(990円)との対峙
ようやくカウンターへ通される。店員は外国の方のようだ。「白飯食べますか?」 無料。その言葉に弱い。相手に合わせて、とっさに口をついて出た言葉は「ラージ」。 つまり白飯の大盛りだ。 それでも追加料金なし。この太っ腹さ、ありがたい。 この後の塩気を考えれば、受け皿は分厚いほうがいい。
番号を呼ばれ、丼を受け取る。いよいよ、対面の時。

……美しい。 とにかく、スープが美しい。 透き通った黄金色の表面を、分厚いラードの膜が覆っている。丼を埋め尽くすチャーシュー麺の肉ですら、この輝きを引き立てる脇役のようだ。 この圧倒的なビジュアル。並んだ30分の疲労が、湯気と共に昇華されていくのを感じた。
スープと麺:熱と塩気の衝撃
まずはスープから。レンゲを入れた瞬間、封じ込められていた湯気が立ち上る。 啜る。
熱ッ!!
舌を焼く温度だ。ラードの蓋が、スープを高温に保っている。 直後に襲ってくるのは、強烈な塩気。ガツンと脳天に響くような、クリアだが鋭利な豚の旨味。手加減など微塵もない。だが、それがいい。
続いて麺を引きずり出す。喜多方風の平打ち麺だ。 ズルズルッ。 ……ふむ。正直に言おう。流儀は「黄色い縮れ麺」だ。あのプリプリとした弾力こそが至高だと思っている。 この平打ち麺と、攻撃的なスープ。口の中で、わずかな不協和音が鳴るのを感じた。
だが、箸が止まらない。「好みではない」という理屈を、「問答無用の旨さ」が力ずくでねじ伏せてくる。ある種の敗北感だが、なぜか心地よい。
白飯(ラージ):最強の相棒
ここで、傍らに控える白飯(ラージ)の出番だ。 スープを限界まで吸い込んだチャーシューを救出し、たっぷりの白飯にバウンドさせる。そして、かき込む。

正解。いや、大正解だ。 この塩辛い肉塊は、白飯と出会うために生まれてきたのかもしれない。口の中で、脂と炭水化物がガッチリと組み合う。「ちゃん系」とは、ラーメンをおかずに米を食らう料理だったのだ。
最後は、行儀など知ったことかと、残ったスープを白飯へぶっかける。塩気、脂、米。背徳感という名のスパイスが、最後の一口を加速させる。
試合結果:ニューともちんの総評と感想
丼をカウンターに戻し、店を後にする。
完敗だ。体中が熱い。真冬の川崎の風ですら、今の火照った体には生温い。 立ち食いで990円。この満足感、そして心地よい疲労感。 2026年の麺始め。素晴らしい開幕戦だった。
判定:4.5点 (麺の好みが合致していれば、満点だったかもしれない)
ごちそうさまでした。
店舗情報
| 店名 | ニューともちんラーメン 川崎駅前店 |
|---|---|
| 住所 | 神奈川県川崎市川崎区駅前本町8-19 |
| アクセス | JR川崎駅・京急川崎駅から徒歩2分 |
| 営業時間 | 7:00〜翌5:00 |
| 定休日 | 無休(不定休あり) |
| 支払い | 現金のみ(券売機) |